このブログでは、大腿直筋とヨガ・ポーズの関係について見ていきましょう。まずはこの筋肉の概要と、これがどのようにストレッチするかをお話しします。そして、戦士のポーズⅠのように、腰と膝が伸展するポーズで起きる、大腿直筋と大殿筋の興味深い共力作用についてもお話ししましょう。
解剖学的には・・・
大腿直筋は、大腿四頭筋を構成する筋肉の一つで、下前腸骨棘(AIIS)から四頭筋腱(膝蓋骨つまり膝頭に付着)につながっています。膝蓋骨は膝蓋腱で脛骨結節に付着しています。ですから、大腿直筋は、腰と膝をまたぐ、二関節筋なのです。大腿四頭筋を構成する残り3つの筋肉は、膝関節のみをまたぐ単関節筋であることも覚えておきましょう(図1)。
図1:大腿直筋とのその起始、停止。
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大腿直筋は、他の大腿四頭筋と共に働いて、膝関節を伸展させます。また、腰の屈曲における共働筋でもあり、股関節の外転と外旋において筋活性が増加します。図2はスプタパーダングシュターサナ(脚が外転する)におけるこの働きを説明しています。大腿四頭筋と骨盤の関連性についてさらに学ぶには、ここをクリックして、以前のブログ記事「ヨガにおける腰痛の防止策:その1」をご覧下さい。
図2:スプタ・パーダングシュターサナにおいて、大腿直筋は腰を屈曲させ、膝を伸展する。 |
大腿直筋をストレッチするには、腰の伸展と膝の屈曲が組み合わせられたポーズが最適です。ヴィーラーサナ(腰を屈曲して行う)のようなポーズは、大腿四頭筋の他の筋肉をストレッチするのには良いですが、大腿直筋を伸ばすには、仰向けのバリエーションで行うことが必須です。図3ではこの筋肉をストレッチする2つのポーズを紹介しています。
図3:腰の伸展と膝の屈曲により大腿直筋をストレッチする。
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最後に、図4で、戦士のポーズⅠのようなポーズでの、この動きにおける大腿直筋と大殿筋の「拮抗筋/共働筋」関係について説明します。足がマットの上に固定されていれば、大殿筋を収縮させることで、図のように骨盤が傾きます(クローズドチェーン収縮)。骨盤を後方に傾けて下げることで、大腿直筋が引き上がり、これが膝関節に伝わって、より効果的に膝の伸展ができるのです。このように、大殿筋は膝の伸展において、間接的に共働筋として働きます。
図4:大殿筋の大腿直筋に対する「拮抗筋/共働筋」関係。
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先週のフェイスブックでの「マッスル・オブ・ザ・ウィーク」における大腿直筋のストレッチについて、みなさんからのフィードバックをありがとうございました。次回は明日の投稿をお楽しみに・・・
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ブログを読んでくれてありがとう。次回の投稿でも、科学とヨガの結びつきについてお話ししたいと思いますのでお楽しみに。FacebookやTwitter、Google Plusで是非記事をシェアして下さい。
ナマステ
レイとクリスより